(
2012/05/30)
ショート!
相変わらずHP本体いじれてないので…こちらにウP
以下からSSです。
3z 万斉と神楽。うっすら万また前提で。
「おいヘッドホン野郎」
屋上の階段を上がりきって扉を開けたら
さらにその上部から声をかけられてギョッとした。
「お前の定位置だと思ったら大間違いだヨ!」
逆光のなか振返り見上げるとピンク色の髪の毛を左右でお団子にまとめ
顔の半分が隠れる様な大きな丸眼鏡をかけた少女が屋根にちょこんと座っていた。
3zのクラスメイトの神楽だ。
たしか武市がご執心で沖田といつも殴り合いの争いをしている元気のよい女の子だ。
「定位置ではないでござる」
「ふん、いつもシャカシャカしてるの知ってるアル」
「…」
肩に担いでいたギターをおろしフェンスに寄りかかる様に腰を下ろした。
午後の授業は始まっている。
自分がさぼるのは珍しいことではないがこの神楽という少女が授業をさぼっているのは珍しい。もっとも授業に出ていても居眠りをしたり早弁をしたり、おおよそ真面目に勉強ということからは遠いのだがそれでも教室にしっかりといるだけでも自分よりはマシだろう。
その彼女がさぼるのだ。
なにか余程の理由が、と考えてやめた。
突き抜ける様な5月の青空。今日は通り雨の気配もない。
風の音が気持ちよくこの風にギターの音色をのせたら素晴らしいだろうと本気で考えて悦に入る。
(こんな気持ちのよい日に真面目に教室に閉じこもっている方が不健全でござる)
恐らく自分のことを警戒しじっと睨んでいる彼女も同じ気持ちなんじゃなかろうか、と考える。
屋上に来る理由なんてそんなもので十分だ。
スタッという音とともに出入り口の屋根から飛び降りた神楽がこちらにテケテケと近づいて来た。
「さっきイノシシ女も屋上来たアル。追い返してやったネ」
「ほう…また子どのも来てたのでござるか」
「風でスカートがめくれて染み付きパンツが丸見えだったヨ」
「ふむ…それは羨ましいでござるな。拙者も拝みたいものだ」
「ふんっシャカシャカすけべ」
「…それはひどい言われようでござるな…」
おそらくまた子と本当に言い争いをして屋上から追い返したのではないだろう。
また子も神楽の様子を何か察して自ら屋上を譲ったのだろう。
特に喧嘩する理由のないときのまた子の物わかりの良さというのも知っている。
しかし神楽は気を使われたのが面白くなかったのかもしれない。
あっさり譲られると自分が子供扱いされたような気持ちになるのもなんとなくわかる。
「良い天気でござるな」
「…」
「神楽殿はなにか好きな音楽は?」
「…特にないアル…」
「そうでござるか…では一曲お付き合いを」
微かなギターの音が風の音に紛れながら流れる。
突っ立っていた神楽もゆっくりフェンフにもたれかかった。
おそらく今演奏した曲も何も知らないだろう。
だがこんな天気こんな場所で聞いて気分をさらに悪くするものでもあるまい。
こういうときの音の力というのを無条件で信じている。
「その曲は知らないアル」
「そうでござるか…これはgreendayというロックグループの…」
「でも嫌いじゃないアル」
「…それはよかった。時に神楽殿、メロンパンは好きでござるか?」
「!!大好きアル!」
昼ご飯を食べ損ねたので購買部で売れ残りのメロンパンを買ってきたのだ。
ギターのカバーに忍ばせておいたメロンパンは端の方が少し砕けてしまっているが味には問題なかろう。
「腹が減ると思考回路が下降するでござるからな」
「ふん!ヘッドホン野郎も気がきくアル。見直したアル。」
むしゃむしゃとほおばる神楽の横でまた静かにギターを鳴らす。
「ゲフー!うまかったアル!じゃあなシャカシャカ!イノシシ女にすれ違ったら屋上行く様に伝えといてヤルヨ!」
「ふっ…余計なお世話でござる」
神楽はスカートにこぼれ落ちたパン屑をささっと払いパタパタと階段を降りて行った。
風で散らばったパン屑には次の客の雀が群がっていた。
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